さよなら7000系パノラマカー
R君がどうしても行きたいというので、父子2人で行ってきた。J君も行きたがっていたが、お月見泥棒を友達と回る約束をしてしまったので、R君にデジカメを託してきた。自分の希望より、友達との約束を優先したようだ。義理堅いというか、融通が利かないというか。それはさておき。
11時25分金山駅出発という運行表を確認していたので、まぁ11時着けばいいかとのんびり出かけたのが間違いだった。何も考えずに金山駅で河和までの切符を買い、改札を通ってホームに下りたら、そこには本日のイベントに参加する鉄道ファンで溢れ返っていたのだ。只でさえ狭いホームにカメラを持った鉄ちゃんが混み合い、一般客の安全を優先して鉄ちゃんたちに自重を呼びかける駅員さん。時には白線を越えて撮影しようとする鉄ちゃんに対して、鋭い怒号が飛ぶこともあった。とにかく凄い混雑ぶりであった。先頭車両等には既に乗車予定の客が並んでおり、定員で埋まっていた。もっと早く来るべきであったか。「3号車4号車はまだ空いております」と言われながら案内されたので、言われるままにホームの先に行った。もう背伸びしても列車が見えないほどの混雑だったので、数年ぶりにR君を肩車して撮影させた。で、出発のアナウンスが流れたときに気がついたのだが、どうも案内された場所は撮影のための場所をだったようで、誰も動こうとしない。慌てて3号車あたりへ向かおうと走ったら、R君がぴゅーっと走って1号車に乗り込んでしまった。止むを得ず私も1号車に乗り込んだ。ちゃんと案内通りに並んで1号車に乗れなかった人、ごめんなさい。R君はどこで覚えたのか「はい、ごめんなさーい。はい、ごめんなさーい」って言いながら、小さな身体を最大限に活かして先頭まで行ってしまい、姿が見えなくなった。
車両内は殺人的な混み具合で、列車が揺れるたびに、怒号や抗議の声が飛び交う。どうも聞き耳を立ててみると、全員が全員、鉄ちゃんというわけではなく、イベント車両と知らずに乗り込んでしまった人もいたようだ。各停車駅および線路沿いには、カメラを構えた人々が待ち受けており、凄い光景だった。名鉄車両の人気の程が伺える光景だった。途中、長時間停車した駅では運転席の公開もしてくれた。ハッチのちょうど真下に立っていた私は絶好のポジションにいたわけだが、写真を撮ろうと手を伸ばす人たちにもみくちゃにされてしまった。つくづく鉄パワーは凄まじいと思った。
親切な鉄ちゃんを見かけた。小さいお子さん連れのお母さんが、前に行くのを諦めるよう子供に諭していると、傍に居た高校生ぐらいの少年が、「僕が抱っこして前を見せてあげましょう」と申し出、かなり長いこと抱っこして前を見せてあげていたのだ。お母さんも少年にとても感謝していた。
空気の読めない鉄ちゃんも居た。先頭を占領していた中学生ぐらいの一団が、途中から座席に居ながら立ち見を始めたのだ。ベストショットを撮るためなんだろうが、後ろの人が前を見れなくなってしまったのだ。頭を下げてくださーいと注意をされていたのに、ふざけて頭を下げる真似をして笑い、それっきり最後まで座らなかったのだ。よほど怒鳴りつけようかとも思ったが、私の位置からは混雑もあって周囲にも迷惑をかけそうだったので思いとどまった。
終点河和駅に着くと、アナウンスで改札の外で記念カードを配布しているとのこと。改札には人が殺到していたが、何とかR君とはぐれることなく外に出、カードを貰った。カードはちゃちいものだったが、R君は大喜びであった。河和折り返しまで20分もなかったので急いで食事をすることにしたが、生憎立ち食いそば屋のような店はなく、最寄りのカレー屋らしき店に飛び込んだ。表にカレーなら早いと書いてあったが、頼んでみるとシェフは優雅な動きでカレーを一人分ずつ鍋に空けて温めていたので5分以上かかった。ご飯もってカレーをかけるだけなら20秒もかからないと思うのだが…。R君のカレーを急いで冷ましてよく混ぜ、食べさせた。私もガツガツと急いで食べたが、予想外にR君も早食いしてくれたので、何とか余裕を持って店を出られた。
帰りは流石に先頭にいるのは嫌だったので(一応見に行ったが、行きと変わらないくらいの混みよう)、行きと同じ1号車に乗ることにした。帰りは最後尾だからさすがに空いており、途中からは座ることもできた。R君は帰りも最後尾に陣取って景色を眺めていた。途中、他にいた鉄ちゃんと話もしていたようだった。
金山駅に着いたとき、車内アナウンスで名鉄としてお客さんの協力のおかげで無事イベントを終わったことにお礼を言っていたが、直後車内に大きな拍手が巻き起こったのは感動だった。私も思わずつられて拍手した。下りてからも、名残を惜しむ人たちが撮影のために先頭および最後尾に殺到し、写真を撮っていた。R君もホームギリギリまで乗り出して撮影してた。
車両が去った後も、R君はホームの先で車庫に停まっている車両を眺めていた。ほっといたらずっと居そうだったので切り上げさせて帰途についた。
随分疲れたが、親子2人、こういうイベントに行ったのは良い思い出になった。ただ、今日の出来事が、R君のこれからを左右するほどの重大なイベントになっていないかという思いがし、ちょっと将来を心配したのだった。
ところで。R君はせっかく先頭に居たのに、その写真を全く撮っていなかった。その理由が、行きに乗った地下鉄の撮影でメモリと電池を使い切ってしまったからと言うのには、とてもとてもがっくりしてしまったw