やるせない。

嫁から聞いた話。発達障害のあるY君を通常学級に通わせていた、あるお母さんの話*1。先日、学校に呼び出された際に、担任の先生と学年主任の先生から、Y君のことでかなり厳しく冷たい口調で「通常学級では対応しかねる」という趣旨のことを言われたらしく、挙句に特別支援学級に移籍することの決断をその場で求められたらしい。それで、その場は止む無くそのことを承知し、昨日は支援学級の下見のためにR君のクラスを見に来ていたと。でも、辛さとやるせなさで涙が止まらず、いたたまれなくなって帰ってしまったのだそうだ。それを、今日嫁がたまたま会った際に相談を受けたのだと。
嫁によれば、Y君はお世辞にも普通学級で上手く過ごせているとは言い難い様子だったそうだ。また、学力なども、1年生の時にあった若干の差が、4年生になって決定的に広がってしまい、担任の先生としてはフォローしなくてはいけないので結果的にクラス全体の学習が遅れてしまうこともしばしばだったらしい。行動的にも、非常に活発な発達障害だったために担任の先生がお母さんに「授業中にずっと付いていてほしい」と要求したほど、通常学級で過ごすには難のある障害の度合いだったと。
お母さんの気持ちはとてもよく分かる。また、担任の先生、学年主任の言い分も、分かる。想像だが、おそらく他のクラスメイトの親御さんからもクレームがあったのだろう。その親御さんたちの言い分も、分かる。先生だって好きでそんなことを告げたのでは無いと思う。各々の立場はよく分かる。だから、やるせない。
発達障害児は、普通学級へ入れるべきか支援学級に入れるべきかの判断が非常に難しい。なぜなら低学年のうちはそれほど他の子と差が見られないケースも多いからだ。Y君のお母さん迷った挙句に、普通学級へ通わせる決断をしたそうだ。正直に言うとうちのJ君もその選択で迷った。ひょっとしたらこのまま普通学級でも大丈夫じゃないかとも思えたからだ。だからY君のお母さんの普通学級を選んだ気持ちは、痛いくらいに分かる。この4年間、普通学級でよく頑張ったことだろう。でも、その結果がこれでは…。この選択をお母さん自身がしっかりと受け入れるにはまだまだ時間がかかるだろう。
しかし、Y君のお母さんのこと以上に、話を聞いていて心が痛んだのはY君自身のことである。本人にしてみれば、訳も分からず次年度から普通学級から特別支援学級に移されるのである。低学年ならまだしも、彼は高学年である。さぞかし、自尊心を傷つけられることだろう。馴染むのには相当な時間がかかることだろう。
今の坊たちの学校の支援学級は、先生と親の関係が非常に協力的であり、良い雰囲気がある。Y君とそのお母さんが一日も早く溶け込めるよう、支えてあげられたらと思う。嫁も、なんて声を掛けていいのか分からないけど、皆同じ悩みや辛さを持っている親たちだから、困ったらいつでも相談して欲しいと声を掛けたそうだ。

*1:Y君はJ君の良い遊び仲間で隣のクラスの子である。