私が開発した製品の第一号の現場でトラブルが発覚したのが今年の1月。それから予算の関係やら人員配置やらの都合で、対処が半年後の今日にまで伸びてしまった。お客様の都合もあって日曜日にしか改修工事のしようがないので今日やることになったのだ。私も開発者・設計者の立場で、事の次第を見届けねばならないと考えM次長に声をかけた上で現場へ向かった。工事開始は8時とのことだったが、7時50分に私が到着したときには既に本工事の担当者であるS課長代理とその上司であるS次長、維持管理担当のN君、そして3人の若い職人さんたちが来ており、作業を始めていた。しばらくして、M次長と、N君の同僚であるT課長代理も駆けつけてきた。総勢9人の人工で作業を始めた。
作業は手こずった。当初は3時くらいには終わるのではという見通しだったそうだが、装置を解体するにつれてそんな簡単な作業ではないことが分かり、夜までかかることを覚悟しなければならなかった。人工としても、初めは9人も要らないのではと思ったが、装置内部の充填物の除去は人海戦術で対処するしかなく、むしろ適切な人数だった。立って見ているだけでも12時間以上の作業なので非常にキツい。そこに少し作業が加わって更にキツかった。実際に動いていた職人さんなんかは我々の数倍は疲れたであろう。度々、お茶の支給があったが、一人当たり3Lは飲んだのではないか。夕方ごろと8時ごろに、S課長代理から「もうこれ以上居てもらっても申し訳ないから後は任せて帰ってもいいよ」と言われたが、どうしても最後まで見届けたのと、疲れて判断を誤る可能性があるので内部を分かっている私自身は最後まで残るべきだと思い、申し出を断った。実際、疲れが出たのか最期の仕上げは危うい作業が多かった。
夜の9時半でようやく作業終了。結局全員最後まで居た。しんどい作業だったが、充実感があった。普段一人で作業することが多いのだが、時々はチームワークで大きな仕事を達成するのもいい。この連帯感はなかなかハマるのだ。こういうことに出来る限り関わって来たから、今日の社内での自分の立場が確立できたと思う。
今日の作業は得るものが多かったが、まとめると次の2点である。
1.本製品は設定さえしっかりやっておけば、非常に維持管理が楽なものであること。
2.我々の業界では設計段階であまり部分詳細図なんかは描かないのだが、現場の状況を見る限り、現場担当者の誤解を招かないよう、施工ミスを防ぐよう、可能な限り現場に配慮した図面を描く必要がある。
後者なんか、何を今更なことだけど、こうして経験に基づいて実感できたのは貴重で価値がある。やはり、問題は現場に行かないと見えてこないものだな。