大学院時代の後輩AT君から小冊子の包みが届いていた。開けてみると自作の小説が入っていた。彼は大学院時代から研究をやりながら趣味の漫画や小説を書いている。南方熊楠つげ義春から強い影響を受け、自然科学と哲学がごっちゃになった実にシュールな作品を書くのだ。あんまり面白いので、卒業の時にこれからも意欲的に制作してくれと研究室の皆から1000円/人ずつ制作費を渡した程である。卒業後、彼は進路と職を転々としながらも、意欲的に根気よく年1本のペースで書き続け、皆に発送し続けたのだ。どう考えても発送費で5本も出せば1000円なんてあっという間に無くなる筈だが、途中からは自費で送り続けたのだろう。そろそろ追加の出資をしてやってもいいなと思う。今回の分も、なかなか読む暇は無いが、内容に見合った費用は払おうかと思う。
しかし、卒業後10年以上経っているのに、ここまで作風・テーマを変えずに続けてきた彼には、ちょっと感動した。彼だけは卒業後もあまり変わっていない。こういう人物というのは、実に、貴重だ。