朝寝坊はしたものの、食料買い出しやら、坊たちのおむかえ、通夜・葬式に行く準備などで慌ただしい日だった。
通夜・葬式の日程は、親類の都合や縁起などにより、ちょっと間をおいて水・木となった。今日駆け付けようと思っていたが、叔父からは丁重に断られた。まあ向うも多忙の極みであろうし、邪魔してしまうよりはマシだろう。
今回、近い親類では初めてとなるため、私どころか親父たちまで身内の葬儀は初体験であり、分からないことが多くて困ったのだが、意外に嫁が葬祭の経験が豊富で、嫁の意見がとても頼もしく感じられた。というわけで不明な点は全て嫁の実家の作法でいってみることとなった。
高校までは年二回以上必ず遊びに行っていたが、大学進学後は年一回に減り、就職・結婚してからは従妹の結婚式ぐらいしか行っておらず、疎遠になっていた。なので、祖母の死に今イチ実感が沸かない。余談だが坊たちは、親父たちに連れられて祖母の遺体を見て、更に触っているので、リアルに死というものを実感したらしい。トラウマにならないかちょっと心配。
夜、家族と母と一緒に食事している時に、祖母の思い出について話してみた。始めはおっかない祖母だったことしか思い出せなかったが、話をしているうちに色々なことを祖母から受け継いでいることに気が付いた。全部食べ物に係ることだというのがちょっとあれだが、食事時の自分の所作に祖母の影響がちらほらと見え隠れしているのだ。例えば、とうもろこしを歯できれいにこそぎ落とす食べ方。同じくとうもろこしを指できれいに剥がす食べ方。アイスクリームの正しい(?)食べ方。その他もろもろ。
祖母の教えは、すぐに口に出せられないが、心に体にしっかりと染み付いていた。
ちょっと、嬉しかった。